「罪のない者が、彼女に石を投げなさい」  

イエス様は朝早く起きてエルサレムの神殿に入り、神様の御言葉を教えておられました。イエス様の教えには神様の権威があふれていました。イエス様が神殿で教えるたびに、大勢の人がイエス様の周りに集まって耳を傾けました。イエス様が教えておられたある日、当時の宗教指導者たちが現れます。

彼らはある女の人を連れてきて、人々とイエス様の前に立たせます。そしてイエス様に話かけます。「先生。この女は姦淫の現場でつかまえられたのです。モーセは律法の中で、こういう女は石打ちにするように命じています。ところで、あなたは何と言われますか。」  彼らは、もしイエス様が「殺しなさい」と言ったら、「あなたは敵をも愛しなさいと言ったではありませんか。隣人をあなた自身のように愛しなさいと言ったではありませんか。なんで殺すのですか」とイエス様を責めて、教えと行動が一致しない偽善者であることを人々に示そうとしました。反対に、イエス様が「殺してはいけません」と言ったら、「なぜ、あなたは姦淫の犯した人を殺しなさいと書いている律法に違反するのですか」と責めるつもりでした。どちらにしても、イエス様を責めて殺そうと考えていました。  

イエス様の周りに集まっていた人々は、彼女が姦淫の現場でつかまえられたことを知ると、石を持ち始めます。「隣人を愛しなさい」というイエス様の教えを忘れて、彼女の罪を考えて殺そうとします。姦淫の罪を犯した女の人は、死の恐怖を感じ始めます。その場所にいた人々の視線はイエス様に向かいます。イエス様の一言にその女の人の生死がかかっているのです。イエス様はそこに集まっていた人々に向かってこのように語られました。「あなたがたのうちで罪のない者が、最初に彼女に石を投げなさい。」静寂が訪れます。そこに集まっていた人は、だれもイエス様の御言葉に何も言い返せませんでした。自分の生活を振り返り、自分が犯した罪を思い出したからです。あの女の人が石打ちにされるなら、自分も石打ちにされて当然だとを悟ったのです。どれくらい過ぎたでしょうか。集まっていた人の中で年長者から次々にそこから離れて行き、結局、イエス様とその女だけが残ります。  その時、イエス様が彼女に尋ねます。「婦人よ。あの人たちは今どこにいますか。あなたを罪に定める者はなかったのですか。」彼女がふるえながら答えます。「だれもいません。」イエス様は彼女に語られます。「わたしもあなたを罪に定めない。 行きなさい。今からは決して罪を犯してはなりません。」  

この話を通して、イエス様は私たちに一つの教えを与えておられます。それは誰かが罪を犯してしまった時、私たちもむやみにその人をさばいてはいけないということです。私たちの中に、罪が全くない人はだれもいません。そんな自分の姿を考えず、私たちは罪を犯した人に石を投げようとする場合がたくさんあります。イエス様は私たちに言われます。「あなたがたのうちで罪のない者が、最初に彼女に石を投げなさい。」罪を犯してしまった人を非難する前に、自分に非難されるべきことはないか振り返り、罪があるなら、悔い改める恵みがありますように。むやみに他の人を責めて非難しないようにしましょう。むやみに他の人の罪をさばく人にならないようにしましょう。非難するのではなく、愛して赦しましょう。